測定し、診断し、改善し、検証する。
HEEMは、HVE(HVAC VALUE ENGINEERING)の考え方を現場で実装するための、空調関連の省エネメソッドです。空調・換気・冷凍冷蔵・気流・制御・運用などを一体で捉え、現状把握 → ロス分類 → 改善余地分析 → 改善設計 → 効果検証という流れで実践します。
HEEMが必要な理由。
空調関連の省エネは、思いつきや経験則だけで進めると、効果の根拠があいまいになりやすくなります。
たとえば、こんな考え方だけで進めていないでしょうか。
- 設定温度を変えれば下がる
- 新しい機器に替えれば省エネになる
- 省エネ装置を付ければ効果が出る
といった考え方だけでは、現場ごとの本当のロスを見落とすことがあります。
HEEMでは、空調・換気・冷凍冷蔵・気流・制御・運用などを一体で捉え、次の流れで空調関連の省エネを実践します。
HEEMが重視すること。
新しい機器に替えれば省エネになる。
省エネ装置を付ければ効果が出る。"
といった考え方だけでは、現場ごとの本当のロスを見落とすことがあります。空調関連の省エネは、思いつきや経験則で進めると、効果の根拠があいまいになりやすくなります。HEEMでは、現状把握から効果検証までを一連のメソッドとして体系化しています。
まず、現場で何が起きているかを見る
空調関連の省エネで重要なのは、最初から装置や対策を決めることではありません。まず確認すべきことは、現場でどのようなエネルギー漏れが発生しているか。同じ空調機を使っていても、施設ごとにロスの原因は異なります。
- 制御に無駄があるのか
- 温度ムラや気流ムラがあるのか
- 換気や外気の影響が大きいのか
- 冷凍冷蔵設備と干渉しているのか
- 設備劣化が進んでいるのか
- 運用ルールにズレがあるのか
HEEMでは、これらを順番に確認し、どこに改善余地があるのかを整理します。
HEEMの基本プロセス。
HEEMでは、空調関連の省エネを次の5つのステップで進めます。
現状把握
まず、現場の空調状態を客観的に確認します。設定や運転状態だけでなく、空気の状態や設備のコンディションまでを一体で把握することが、HEEMの出発点です。
- 室温・湿度と体感環境
- 電力量・電流値、運転時間
- 設定温度と空調の稼働状況
- サーモ画像・気流
- 換気の状態、外気の影響
- 冷凍冷蔵設備との干渉
- 設備の汚れや劣化
- 現場の運用ルール
ロス分類
次に、現場で確認されたエネルギー漏れを分類します。何を改善すべきか、どの順番で取り組むべきかを明確にするために、ロスを6つの観点で整理します。
改善余地の分析
ロスを分類したら、次に改善余地を分析します。空調関連の省エネでは、快適性を維持しながら、価値に変換されていないエネルギーを減らすことが重要です。現場データとロス分類をもとに、どこに省エネ余地があり、どの対策が現実的かを整理します。
- 室温が快適領域を外れているのに電力を多く使っていないか
- 温度ムラにより、必要以上に設定温度を下げていないか
- 無人時間帯や低負荷時間帯に過剰運転していないか
- 換気や外気の影響で余分な負荷が発生していないか
- 冷凍冷蔵設備との干渉により、双方の負荷が増えていないか
- 設備劣化により、本来より多くの電力を使っていないか
改善策の設計
改善余地が見えたら、現場に合った改善策を設計します。HEEMでは、特定の商品や装置ありきではなく、現場で発生しているロスに合わせて対策を選びます。大きな投資の前に、まず現場のロスに合った対策を選ぶことが重要です。
- スマート空調制御
- スケジュール制御
- 温度設定の最適化
- 気流改善
- サーキュレーター活用
- 換気制御
- CO₂濃度に応じた換気最適化
- 冷気漏れ対策
- 冷凍冷蔵設備との干渉対策
- 霜取り制御
- 遮熱・断熱対策
- フィルター・熱交換器改善
- メンテナンス改善
- 設備更新
- 補助金活用
- ESCO型・成果連動型提案
効果検証
改善策を導入した後は、実際の効果を確認します。「効いたように見える」ではなく、どの程度改善したのかを説明できる状態にすることがHEEMの基本です。
- 削減電力量・削減率
- 削減金額(電気代の変化)
- CO₂削減量
- 室温・湿度・快適性の変化
- HEEMスコアの変化
- 投資回収年数
- POC結果と継続性
- 導入前後の運用ルールの変化
HEEMで使う評価手法。
HEEMでは、現場の状況に応じて、複数の測定・評価手法を組み合わせます。
サーモカメラ診断
温度ムラ、冷気だまり、暖気だまり、日射の影響、設備の発熱、冷気漏れなどを視覚的に確認します。
電力・電流ロギング
空調機や関連設備の消費電力、電流変動、運転パターン、ピーク、負荷変動を確認します。
温湿度測定
室温や湿度の変化を確認し、快適性や不快指数、空気の状態を評価します。
気流・体感確認
風の当たり方、空気の循環、冷気・暖気の偏り、人が感じる快適性を確認します。
HVA/HEEMスコア
空調が消費しているエネルギーが、どれだけ快適性・生産性・省エネ効果・事業価値に変換できているかを点数化します。
オンサイト空気エンタルピー法
温度・湿度・電力量などの現場データをもとに、導入した装置や改善施策の効果を確認します。
HEEMとHVA/HEEMスコアの関係。
HEEMは、空調関連の省エネを現場で進めるためのメソッドです。その中で、空調価値を分析する仕組みが HVA、HVAの分析結果を点数化・可視化する指標が HEEMスコアです。
HEEMスコアを活用することで、改善前後の状態を比較しやすくなり、提案やPOCの結果を説明しやすくなります。
HEEMが向いている現場。
HEEMは、空調関連の省エネに課題を感じている現場に向いています。次のいずれかに当てはまる場合、HEEMの活用を検討する価値があります。
- 電気代が高止まりしている
- 空調の効きにムラがある
- 暑い場所・寒い場所が混在している
- 空調と冷凍冷蔵設備が干渉している
- 設備更新前に改善余地を確認したい
- 補助金申請前に課題を整理したい
- 省エネ装置の効果を確認したい
- POCを実施したい
- ESCO型・成果連動型提案につなげたい
- 快適性を落とさず省エネしたい
- 空調関連の省エネをどこから始めればよいかわからない
HEEMは、工場、店舗、倉庫、スーパーマーケット、食品関連施設、オフィス、温浴施設、ガソリンスタンド、商業施設など、さまざまな施設で活用できます。
HEEMの5つの特徴。
HEEMが他の省エネアプローチと異なる、5つのポイントです。
設備更新ありきではない
HEEMは、最初から設備更新を前提にしません。まず現場のロスを確認し、改善余地を見つけます。
快適性を重視する
空調関連の省エネでは、快適性を犠牲にしないことが重要。室温・湿度・気流・体感環境を確認しながら改善を進めます。
後付け改善と相性がよい
スマート制御、気流改善、換気制御、冷気漏れ対策、遮熱・断熱、メンテナンス改善など、既存設備を活かした改善にも対応。
効果検証を重視する
導入して終わりではなく、改善前後のデータを比較し、効果を確認します。説明責任の高い省エネを実現します。
補助金・ESCO型と連携
現状把握、改善余地、効果検証を整理することで、補助金活用や成果連動型提案にもつなげやすくなります。
HEEMで目指すこと。
HEEMが目指すのは、空調関連の省エネを「なんとなく」ではなく、測定と検証に基づいて進めることです。
この流れを整えることで、空調関連の省エネは、より実行しやすく、説明しやすく、継続しやすい取り組みになります。
まずは、HEEM簡易ロス診断から。
空調関連の省エネは、いきなり設備更新や大規模投資から始める必要はありません。まずは、現場にどのようなエネルギー漏れがあるのかを確認することが第一歩です。
HEEM簡易ロス診断では、空調・換気・冷凍冷蔵・気流・制御・運用などの観点から、空調関連のロスや改善余地を簡易的に確認できます。
